Steam Machineレビュー。XRにも影響を与えるデバイスになるかも

以前より噂になっていた Steam Machine が6月23日に急遽発売となった。個人的には Steam Frame と同時期、つまりもう少し後で発売されるかと思っていたので寝耳に水だったのだが、これはもう発売前から購入が確定していたので、発売日当日に販売サイトへ行き、購入した。そして届いたのが6月30日。しばらくセットアップをしたりしていたがいろいろ見えてきたものもあるのでレビューする。
もともと Steam 自体は GPD Win Max 2021 を購入したくらいから利用していたのだが、昨年末に Steam Frame が出るという発表を聞いた頃からデバイス自体にも興味を持ってきた。Steam Frame というのは Valve 社が2026年にリリースすると噂されている VR ゲーミングゴーグル (という言い方でいいかはわからない。公式には「ワイヤレスVRヘッドセット+コントローラ」と呼んでいるようだ)
Vision Pro 向けの開発を熱心に追いかけている自分ではあるが、それほどこのデバイスが普及しているとは思っておらず、XR系デバイスで言えばスマートグラス全体を見渡しても一般的には XR が流行っているとは言い難い状態がある。それでも新しいデバイスが出るたびに確実にユーザー層は広がっているはずであり、どこかの一点を超えると普及したといっていい状態になると思っている。
Steam には膨大な数のゲームがあり、VR対応しているゲームも結構な数にのぼる。Steam Deck が常に在庫不足で売れ続けている現状を考えると適切な価格で Steam Frame が販売されればきっと VR のユーザー数増加にかなりの貢献をするのではないかと思っているのだ。
そんな空気感の中、Steam Deck を購入したのは今年の2月。正直言って Steam Deck は何年も前に発売されたデバイスであり、性能的にはかなりの型落ち感がある。これを買ったのは Valve 社の持つ「毎年新型を出すつもりはない」という方針には大いに共感するところがあり、毎年のように新モデルが出るデバイスに疲れていたところもある。
さて、そんな中での Steam Machine の発売。
Steam Deck は入荷するとすぐに売り切れるということを繰り返してきたデバイスだった。値上げされて以降は落ち着いたが、それまでは入荷時間になると購入争奪戦のような感じになり、何度もやぶれてきたのである。
当然 Steam Machine もそうなることはわかっていたので、発売時間には机の前に待機していつでも購入可能な状態でいたのだった。そんな準備万端でも一番安いモデルは速攻で売り切れになり、なんとか買えたのが 2TB の単品モデルであった。
Steam Controller とのセット販売も行われていたが、自分はすでに入手しており、単品を購入することにした。
ファーストインプレッション
自宅に届いた Steam Machine であるが、まずわからなかったのは段ボールの開封方法だ。結構購入者でどうやって開けるのか悩んだ人がいるのではないだろうか。
段ボールは上部が開く通常の段ボールとは異なり、垂直方向の真ん中で開くタイプになっている。開くと意外と小さな Steam Machine が柔らかい紙に包まれているという具合で格納されている。電源は本体に内蔵されているらしく、通常のプラグケーブルが同梱されている。
今回購入した 2TB モデルは付け替え用のフロントカバーが用意されており、デフォルトのカバーはブラックだが、レッドファブリック、無垢ウォールナット調という2つのカバーがついてくる。このカバーの取り外しは容易で、マグネットでピタっと本体につく感じである。写真にもあるとおりレッドファブリックのカバーを今はつけている。筐体は16センチ四方な感じで想像よりも小さかった。
ディスプレイはないので HDMI などでモニタに繋いで使うということになるが、起動しても音は鳴らない。どうやらなんらかのスピーカーもしくはイヤホンに接続する必要があるようだ。とはいえ、イヤホン端子は見当たらないので USB もしくは Bluetooth にてスピーカーに接続して使うことになる。せめてイヤホン端子を全面に配置して欲しかったなと思った。また、フロント部分には USB Type-A が2口あるのみなので USB Type-C が一口あったらいいなあと思った。
マウスやキーボードは既存のものを接続すればすぐ使える。Steam Deck でもあったデスクトップモード、Steam Machine だとだいたいの場合、接続する画面が大きいので4Kモニタとかに繋いでいると普通にデスクトップPCとしても捗る感じになる。ただ一般的なデスクトップと違っていいのは、家庭用ゲーム機のように電源オンオフの復帰が速いという点である。それが目当てで Steam Deck を買ったという部分もあるくらいだ。
Steam Deck にインストールしてあるゲームについて
Steam Machine は何もインストールされていないという状態から始まる。試しに Steam Deck に刺してある SD カードを Steam Machine に刺してみた。するとインストール済みのゲームを認識し、そのまま遊ぶことができた。またインターネットからインストールしなければならないという手間が減るのはいい感じだった。
ただ、どっちのデバイスでも遊びたいという人もいると思う。その場合は「設定」より「ストレージ」を選ぶことで SD カードから本体にゲームを移動することが出来、 Steam Machine 本体内にゲームを配置するということもできる。
加えて Steam Deck 本体にインストールしているゲームについても、同一ネットワーク上であれば Steam Deck から Steam Machine へとローカルネットワーク経由でインストールを行うということもできた。とにかくこのあたりのデバイス間の親和性の高さは Apple を感じさせるものがあり、同じ OS とハードをセットで開発しているためだと思われる。体験としては大変素晴らしい。
一点気になったのは大容量のゲームについては SD カードからの移動が失敗することがあった。ファイル移動に何時間もかかった上での失敗なので心理的ダメージが大きい。
Vision Pro との接続は?
Vision Pro にはもともと Steam Link のベータ版があった。Testflight 経由で導入してテストプレイをしていたのだが、正式に Vision Pro もサポートされたようである。残念ながら自宅の Wi-Fi 環境は貧弱であるため、接続レベルも低いのであるがそれでも Steam Machine とリンクさせて遊ぶと結構なめらかでレースゲームとかでなければ普通に遊べそうという感じだった。
もともと綺麗な Vision Pro の画面いっぱいに広がるゲームはもうこういう遊びが小さなキューブ状デバイスだけで実現できる時代が来たかという感じだった。どうやらまだ VR ゲームを遊ぶのは対応していないようだ。
ちなみに、Steam Machine から Steam Deck へのストリーミング (Remote Play) については、結構いい感じでゲームができるので綺麗な画面で寝転んでやるにはオススメである。何か最適化などがされているのだろうか。週末は Steam Machine と Meta Quest 3 の組み合わせをいろいろ確認しようと思ってるのでそれが出来たらまた記事を書く予定。
Steam Machine の先
最後に Steam Machine になぜそんなに夢中になるのかについて書いてみる。現時点で Steam Machine の対象ユーザは個人的にはPCゲームをやりたいライトユーザーなのではと思っており、ハイエンドなグラフィックカードを積んだゲーミング PC を買えて、管理できるような人はそっちのほうがパフォーマンスがいいゲーム体験が味わえると思う。逆にセットアップがこれでもかというくらい簡単な Steam Machine は初心者にもやさしそうだ。そういう層が買うというのが第1段階目。
次の段階というのもあると思っていて、 Steam Frame に最適化されたデバイスとしての Steam Machine という方向性があるのかもしれないということ。
Steam Frame が出るタイミングで、購入者数が更に跳ねる可能性があるんじゃないかと思っている。というのも Steam Frame はスタンドアロンをうたっているものの、真価を発揮するのは何らかの PC と接続した時なのではないかと思うのだ。
そうなると Steam に最適化された Steam Machine にも再度脚光が当たることになる気がする。もしかするとセット販売もされるかもしれない。Steam Frame は VR 業界を盛り上げるポテンシャルを秘めた久々のデバイスだと思っているのだ。