Vision Pro の意外な強み、環境系。
Vision Pro にはその名も「環境」という名前の機能があり、Mac OS で言えば壁紙のようなものという感じだが、ちょっと前に新しい「環境」が追加された。
「レイク・ヴラングラ」と名付けられた新しい「環境」は、以前は「近日公開」という名前でアイコンのみ用意されていたもの。現在もうひとつ「近日公開」のアイコンがあり、そのうちこれも使えるようになるのだと楽しみにしている。
「環境」にはアニメーションするものとしないもの(ひょっとしたらどこかで微妙にアニメーションしているのかもしれない)があり、「レイク・ヴラングラ」は水面がアニメーションするタイプである。状況としては、朝もやが漂う湖のほとりという感じである。瞑想するのにもよさそうだ。
Vision Pro は高精細なのかというと、他の XR デバイスと比べて極端に解像度が高いというわけではないと思うが、自然かどうかというと圧倒的に自然な映りをする。この自然な映りが「環境」と相性が良く、個人的にはこれ系を楽しんでいる時間が結構長い。
逆に 3D オブジェクトを表示するようなアプリケーションは、他の XR デバイスとそこまで変わらないと思える。僕らは自然を見るとき、どうもそこまで高精細には見ていないのではないだろうか。あえてそのあたりのエミュレーションもしているのかもしれない。
自然な映りの良さは 3D ビデオを見るときも威力を発揮する。他の XR デバイスでは綺麗に 3D オブジェクトを表示することが出来るが、動画の表示は常々微妙だなあと思ってきていた。ということで 3D ビデオもいろいろ用意されている Apple TV も契約しそうな勢いになっているがなんとか体験版のみをするに押しとどめている。
さて、タイトルにある環境系というのは、Vision Pro に搭載されている「環境」のことではない。Vision Pro が活きる AR/MR な空間コンピューティングとしての利用方法ではなく、古くは GearVR の頃からあったような VR 的な使い方であり、操作主体というよりは映されている世界に浸るタイプのコンテンツをここでは指している。自然物と相性がいい表示スタイルのおかげで環境に浸るようなアプリの満足度も高いのである。
例えば Sky Guide のようなプラネタリウム的なアプリは他の XR デバイスにも存在するが、自然感という意味では一つ抜けているように思える。
環境系、あるいはアンビエントなもの、静的なほうの体験や没入感という方向性、派手ではないもの、このあたりすごく可能性が詰まっているような気がする。Vision Pro はかぶったまま何もしない、非インタラクティブな環境系のコンテンツと非常に相性がいいのではと思った。