よりひろい フロントエンド
Author : Kazuhiro Hara
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Mon Jul 21 2025

約2時間の登壇でスマートグラス Even G1 を使ってみて

Even G1 で映したところ

7月12日に大阪にて登壇した「帰ってきたWebデザイントレンド」は、約120分、間に10分の休憩を含む想定の登壇で実際は少し時間は少なかったものの、長時間の登壇だった。これくらいの長さになると、開始時から全てを覚えて登壇することは至難の業で何らかの工夫が必要になる。

今回の登壇は『第45回リクリセミナー「帰ってきたWebデザイントレンド & A11y Osaka Meetup」』の中の1セッション。

16年目をむかえる「Webデザイントレンド」は広範囲を扱う性格上長時間になることが多く、そのための様々な工夫がある。たとえば、必要な情報を記したアンチョコを紙で印刷しておき、登壇中確認をしつつ進めるというやり方を過去やってきていて、これはこれで完成形といえる状態になった。

しかし、この方法は細かな文字を見るために下を向くことが多く、特に近年は視力が落ちてきている関係でなかなかつらい状況でもあった。「Webデザイントレンド」セッションはスクリーンにキャプチャを表示する場面が多く、話すことをスライドに織り込んでおくというタイプのセッションではない。そのため、メモを全てスライドに書いておくということは難しい。

また、発表者シートにメモを書くというスタイルも行なっていない。これは過去に受けたプレゼンに関する教育のたまものだと思うが、基本的にプレゼンは全てミラーリングで行っている。

そんな状況の中、少し前に Even G1 を購入した。

Even G1 は、メモをスマートグラス上に表示する機能があり、そのほかにもテレプロンプターという機能もある。テレプロンプターというのは政治家の演説などで使われているカメラ目線なままでカンペを見ることができる装置で、何を話していいかわからなくなってしまう人には心強い味方である。

せっかくなのでこれらの機能を駆使してみようと重い、今回の登壇では気づいてる人は気づいてたかもしれないがスマートグラスの Even G1 をかけて登壇してみた。この規模の登壇で Even G1 を試した人はなかなかにいないはずである。

どの機能が長時間の登壇に向いているか

用途としてはセッション中に使う情報を表示することがメインとなるが、実は左に表示されている時計もまた重要だったりする。手元の時計を確認せずに時間チェックができることは大変ありがたい。まず、メモとテレプロンプターどちらを利用するかというのが検討事項だった。

メモのいいところは、いくつかのメモを用意しておき、それを耳近くにあるタップエリアをタップすることで次のメモに切り替えることができるところだ。最初はメモで行く気満々であったが、2時間近い登壇のメモを入れようとして問題が発生した。

メモは大量に作成することができるが、タップできりかえることができるストックは最大4つまでだったのだ。つまり4個のメモを切り替えるしかできない。そのため、2時間の登壇だとメモの数が全然足りない。逆にLTとかそれくらいの時間であればメモでいけそうだなと思う。

テレプロンプターは、ちょっとやっかいだ。テキストが自動でスクロールしていくモードと手動でスマートフォンの画面をスクロールして表示位置をコントロールできるモードがあり、登壇の進行具合を考えると自動でスクロールしていくモードだと難しいため手動で切り替える方式を選択することになる。メガネのテンプルをフリックすることでスクロールさせるスタイルもあるが、シミュレーションしてみたところ誤動作が起きやすく、本番では使えないと判断した。

ちなみに、日本語でスクロールなしで表示可能な最大文字は以下である。

あいうえおかきくけこさしすせそたちつてとなにぬねのはひふへほまみむめもやゆよらりるれろわをんあいうえおかきくけこさしすせそたちつてとなにぬねのはひふへほまみむ

この量を基準として手元で表示情報をコントロールすることで問題なくスマートグラス上に情報を表示することができた。これで問題ない、はずであった。

本番は想定とは異なる

登壇本番というのは魔物だと思う。ライブコーディングをすれば事故が起き、ツールデモをすれば PC が固まったりする。こういう新しいデバイスを導入すればよくわからない事故が起きることは大いにあり得る。

「Webデザイントレンド」は本番中余裕がそもそもない。3人とかで登壇するが司会進行も兼ねているので、説明だけでなく次のスライドの準備や話す内容、スピードのコントロールも同時で進める必要がある。今回そこにスマートフォンによるデバイスのコントロールが必要になった。

確かに情報は前方をみつつ確認可能になったが、かえしのモニタとしての MacBook の画面と、実際に表示されているスクリーン、出演者の顔など距離が違う焦点に目の前のスマートグラスに表示されているテキストを読み取るのはかなり困難だった。

また、スライドのコントロールとスマートグラスのコントロールそれぞれ進行が異なるから本当であれば同期できるといいのだけどそううまくはいかず現場としては混乱がたびたびあって嫌な汗をかいた。

ただ、可能性は感じたスマートグラス

終わってみて、スライドと表示情報の同期、表示する情報のよりよい整理などもっとうまいことできていれば、プレゼンの協力な味方になるに違いないという実感がある。ということでちょっと自作のアプリを作っていきたいなと感じさせる経験だった。Even G1 のアプリがバージョンアップしてすごくいい感じになってくれれば、それもそれでいいのであるが、今のところあまり頻繁にバージョンアップする感じではない。

課題は多いとはいえ、スマートグラスは現実に寄り添う形でのアプローチに光が見えた挑戦だったと思う。

ARDesign TrendsEvenEventSmart Glass

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