イベント後の六本木ヒルズで詰みかけた話
今日は別イベントの Vision Pro 向けハッカソンの環境開発会があった。六本木ヒルズの森タワーだ。オフィスエリアでの開催で、社員の人しか入れない地域になる。参加者は運営の方から発行されたものを使って会場に向かうことになる。
イベント自体は大変盛り上がり、ぎりぎりの時間まで話し込んで無事終了した。すごい活発な交流が行われた回だったと思う。
19時に終了し、各自バラバラで帰っていく展開となった。エレベーターに一人で乗り、ロビーを押す。ふとエレベーター内の操作ボタンを見ると途中の階も押せるようになっていて、ボタンの隣にレストランと書いてある。
午後は何も食べていないので、おまけに疲れたのでレストランで夕飯でも食べてから帰るかと思い降りてみた。想定では高めのレストランが並ぶというイメージ。
エレベーターホールのドアを開けてレストラン方面に抜けようと思い左右を見ると、社員証がないと入出場できないドアになっていた。これは出た場所を間違えたようだ、と思い戻ろうと後ろのドアを押すがもう開かない。
このエリアはいろいろなエレベーターの停車ポイントになっているらしく、前後にエレベーターホールに進むドア、そして数メートル先には同じく前後に別のエレベーターホールに抜ける入り口がある。
しかし、どのドアも開かない。つまり出口がない。
もし平日であれば誰かが仕事終わりにエレベーターホールから抜けることがありうるだろうが、本日は休日、春分の日。勉強会をやっている会社くらいしかオフィスから降りてくる人はいないのではないか。
嫌な予感がしてくる。
エレベーターホールのドアはものすごく頑丈で壊すことも難しそうだ。そもそも壊したら別の意味でえらいことになりそうだ。社員しか通れない通路はジャンプすれば乗り越えられるかもしれないがこれまたいろいろな問題が起きそうだ。
天井には防犯カメラもついている。これで僕を見つけてくれればいいのだが、リアルタイム監視なんてしていないのかもしれない。
しばらくいろいろなドアを押したり非常用電話みたいなものを探したが見当たらない。こういう場合、どこかに電話すればいいかもしれないがあいにく連絡先を知らないし、そういうヘルプ情報も通路には見当たらない。本当に何もない通路で非常階段も曲がり角もなにもない狭い空間だ。
そして、誰も降りないし、物音もしない。
この狭い通路をうろうろして10分くらい経過した時は、もう今日はこのまま帰れないかもしれないと思い始めた。今日はVision Proを持ってきているがこういう時には何にも役に立たない。
すべてに諦めを感じ始めたその時、エレベーターが開いて誰かが降りる音がした。女神が降りてきたと思った。女神にドアを開けてもらいエレベーターホールに入る。
なんて幸せに満ちたエレベーターホールであろうか。
エレベータードアの近くにある降りるボタンを押すと、しばらくしてエレベーターがやってきた。
1階に降りるエレベーターの中で、ここを出たら何か世の中の役に立つ事をしようと誓った。もし世界が違う方向へ傾いていたらどうなっていたかわからない。
人生、一寸先は闇だ。 心して生きるべし。